アスタ荏田は就労継続支援B型事業所ですが、その工賃事業の一つとして、また、皆さんの職業訓練の場としてカフェをやっています。もちろんカフェですから、お客さまが来てくれないと商売になりませんし、訓練にもならないわけです。なので、皆さんにはマニュアルがあり、お客様が来たら何をやっていてもまず接客対応をやるのがきまりです。
が・・・この「接客」と言うのがなかなか難しい。
カフェをオープンした当初、
・お客様が入口にいる時から睨みつけるようにしてしまい、帰ってしまわれる。
・自分の今やっている仕事に夢中で、お客様が入って来ても声をかけない。(お好きなお席に座って頂くことになっていますが、声を掛けないのでお客様が途方にくれてしまうのですね)
・一人のお客様に何人も押しかけてしまう。(伝票をもった店員さんが何人も押し寄せてきたら・・・私ならかなり引きます)
・自分のとったオーダーの不備を何回も確認に行ってしまう。等々。
今はみんな随分と慣れましたが、時々やっぱり忘れてしまいますので、マニュアルを読み直すことや、シュミレーションをすることが訓練にとって大変大切なこととなっています。
もちろん、みんな大真面目で真剣なんです。また、自分の事を先にするのではなく、お客様を優先する事は、彼らにとって今までした事のない経験だったりもします。「今まで親も先生も周りの人は全部私の事を一番に考えてくれたし、それがあたりまえだった。ここではお客様が一番と言われるけど、どうしたらいいのか解らない。」
お客さまもありがたい事に、笑って待ってくださる事も多いです。でも、これが自分に対しての接客だったらどうする?と。
店員さんが障害者であることはお客様には関係がない。あくまでアスタカフェのランチやコーヒーを楽しみに来て下さる方々です。
甘えてはいけないのですね。
職業指導の職員も真剣ですし、ときにはかなり厳しい言葉も掛ける事があります。いつかアスタ荏田を卒業して就職する人が出てくるかもしれません。そうでなくてもきちんとした接客はその人の自信になり、コミュニケーションに必要な力を付けてくれるはずです。お客様の前に胸を張って出て行く事が出来るように。そんな気持ちです。